テレワークのメリット・デメリット|企業・社員・社会の視点から解説

テレワークのメリット

働き方改革や東京オリンピック開催、コロナウィルス感染拡大防止などにより導入が推進されているテレワーク。

しかし、日本のテレワーク導入率は2018年時点で19.1%となっており、アメリカは2015年時点で85%、イギリスは2010年時点で38.2%、ドイツは2010年時点で21.9%という総務省の統計から考えると、遅れていると言えます。

そこで今回は、テレワークを導入するメリット・デメリットについて、企業・社員・社会の視点から解説していきます

実際にテレワークを実践している企業・社員の事例もご紹介するので、テレワークの導入・実践に役立ててくださいね。

テレワークとはどんな働き方?

テレワークとはどんな働き方?

テレワークとは?

テレワークとは、パソコンや電話、ファックスなどの情報通信機器を利用することによる、場所や時間に縛られない働き方のことです。

テレワークには、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務という3つの種類があります。

①在宅勤務  情報通信機器を使って自宅で仕事を行うテレワーク。
②モバイルワーク  顧客先や移動中の車内からパソコンや携帯電話を使って仕事をするテレワーク。
③サテライトオフィス勤務  本社や支社よりも小規模なレンタルオフィスなどで、情報通信機器を利用し仕事を行うテレワーク。

テレワークは政府も推進

テレワークは、政府も推進している働き方です。

その背景には、働き方改革や東京オリンピック開催時の混雑防止、新型コロナウィルスの感染拡大防止などがあります。

実際に国土交通省や総務省がテレワーク導入に関するガイドラインを発表したり、助成金の給付を行うなどしてテレワーク導入を進めており、今後は新型コロナウィルスの流行を受けた「新しい生活様式」構築のため、ますます導入が促進されていくと見られています。

企業から見たテレワークのメリット・デメリット

企業から見たテレワークのメリット・デメリット

企業から見たメリット5つ

企業から見たテレワークのメリットには、次の5つがあります。

①イメージ向上
②コスト削減
③優秀な社員の雇用
④災害時のリスク分散
⑤離職率の低下

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①イメージ向上

テレワークを導入すると、会社のイメージが向上します。

このことは、就活生が入社時に重視するポイントを見てもわかります。

株式会社DYMが2021年卒業予定の就活生(大学生・大学院生)を対象に行った調査によると、テレワークの有無は残業時間の上限規制、育児や介護との両立のしやすさに次いで3番目に重視される項目でした。

また、テレワークは働き方改革の一環として推進されていることから、テレワークを導入しているということは社員のライフ・ワーク・バランスを大切にしていることだと判断され、会社のイメージが向上すると考えられます。

②コスト削減

テレワークを導入すれば、オフィスの家賃や社員の通勤費用を負担する必要がなくなります

その結果、今までかかっていたコストを削減することができます。

③優秀な社員の雇用

テレワークを導入すると、遠い場所に住む社員を採用することができるようになります。

その結果、地方に住む優秀な社員を採用できるようになるのです。

場合によっては海外に住む優秀な社員の採用も可能になります。

また、通勤の必要がなくなることから通勤が難しい障害のある社員や経験豊富な高齢者でも、採用できるようになります。

人材不足が問題になっている現代において、採用できる人材の幅が広がるということは大きなメリットです。

④災害時のリスク分散

2011年の東日本大震災や2020年の新型コロナウィルス流行の際、企業はどのように事業を再開するか、継続していくかという対応に追われました。

こうした災害や感染症の流行は、今後も発生する可能性が十分にあります。

予めテレワークを導入していれば、本社や支社が営業困難な状況に陥ってもスムーズに業務を再開できるため、経営への影響も抑えることができます。

また、台風により公共交通機関が止まったり警報が発令されたりしても、テレワークであれば業務を停止させることなく、普段通り営業ができます。

特に台風は毎年やってくるため、その都度業務を停止させなくて済むというのは企業にとって大きなメリットです。

⑤離職率の低下

テレワークを導入すると、社員は介護や子育てをしながらでも働きやすくなったり、転勤が必要なケースが減ったりします。

子育てや介護は仕事をやめる理由として多く挙げられる要因ですし、最近では転勤を言い渡されたことをきっかけに転職する人も増えています。

テレワークを導入すればそうした理由での離職を減らすことができ、優秀な人材の流出を防ぐだけでなく、人員補充のための新規採用や中途入社社員の教育にかかるコストを減らすことができます。

企業から見たデメリット4つと対策

テレワークを導入することによって生じる企業にとってのデメリットには、次の4つがあります。

①勤怠管理が難しい
②セキュリティの管理が難しい
③生産性が落ちる可能性がある
④人事評価が難しくなる

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①勤怠管理が難しい

現在会社で打刻をするシステムを使っている企業は、テレワーク導入に際し家でできる打刻システムを取り入れる必要があります。

また、もし勤務時間を虚偽報告している社員がいたとしても確認できないというデメリットもあります。

こうしたデメリットを解消するためには、テレワークに対応した勤怠管理システムの導入とともに、社員のパソコンの履歴確認やWebカメラを使った社員の働きぶりの確認などが必要になります。

②セキュリティ管理が難しい

テレワークを導入するときには、セキュリティの問題も浮上します。

もしどこかで社員がパソコンを紛失したり、カフェや駅などの公共Wifiを使ったりした場合には、情報漏洩の危険性があります。

また、社外秘のデータを閲覧する場合に、どのようにそのデータにアクセスするかも問題になります。

こうしたデメリットを踏まえ、テレワーク導入時には社用パソコン使用に関する規定を作るなどの対策が必要になります。

③生産性が落ちる可能性がある

テレワークになると社員は上司の目を気にして働く必要がなくなります。

また、会社に比べてテレビやゲーム、家族など気が散る要素が多くなり、社員が会社にいるときよりも生産性が下がる可能性があります。

それだけではなく、社員同士が直接顔をあわせる機会が減り個人プレーのような雰囲気が強くなることで、チームとしてのまとまりがなくなり成果に支障が生じることも考えられます。

こうしたことを防ぐためには、テレワークであっても社員同士で密に連絡を取るよう指導したり、テレワークに適したマネジメント法を作り出すことが必要です。

④人事評価が難しくなる

テレワークになると、日頃の勤務態度やチーム内での役割などが見えにくくなるため、従来と同じような基準での人事評価が難しくなります。

そのため、テレワーク導入にあたっては新たな人事評価システムを作ることも求められます。

テレワーク導入企業の声をご紹介

ではここで、実際にテレワークを実施している企業の声を『平成30年度 地方企業に学ぶテレワーク実践事例集』(総務省)からご紹介します。

まずは神奈川県の向洋電機土木株式会社です。向洋電機土木株式会社では、テレワークを導入したことによりコストの削減と生産性の向上が叶えらえれたとのことです。

時間を自由に組みやすくなり、働く場所の選択肢が増えたこと、働く仕事の棚卸しがなされたことで、移動コストの削減や電気料金などのコストが大幅に圧縮され、生産性も向上しました。また、取り組みを進めていくと新たな業務改善の必要性に気づかされ、組織構築が更に進んでいます。働き方をデザインし働きやすい企業に生まれ変わったことで、女性社員が増え、活躍しているのは、嬉しいところです。この流れを止めないように積極的にバックアップし、働き方への改善を推進していきます。

続いて、北海道の株式会社流研です。株式会社流研では、テレワーク導入によるコミュニケーションの不足が懸念されていましたが、実際に導入したところ電話やメールなどの活用で問題なく仕事が進んだそうです。

社内では、特に指示をする立場の人間が、タイミング良く適切な指示ができるのかという不安を持つことが少なくありませんでした。ところが実際スタートしてみると、電話・メール・グループウェアなどを駆使して問題なく仕事が進められています。社員のニーズから導入されたテレワークですが、これからはこの制度の対象範囲を広げていくことや、ルールを見直しながら、より効率の良い精度アップした仕組みに進化させていきたいと思っています。

最後に、長野県の株式会社エー・トゥー・ゼットです。株式会社エー・トゥー・ゼットでは、テレワークを導入したことにより残業が減り、社員のやる気も向上したそうです。

ALT の派遣先は県内各地にあり、社員の自宅から直接出向いた方が早いケースがあります。テレワークでこうした移動時間を短縮することで、残業時間は6割減りました。ワークライフバランスが改善すれば、社員のやる気もアップ。業務効率はさらに上がりました。

社員から見たテレワークのメリット・デメリット

社員から見たテレワークのメリット・デメリット

社員から見たメリット5つ

社員から見たテレワークのメリットには、次の5つがあります。

①自由な時間が増え、ライフ・ワーク・バランスが整う
②好きな場所に住める
③生産性向上
④災害や感染症リスクの低下
⑤ストレス軽減

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①自由な時間が増え、ライフ・ワーク・バランスが整う

テレワークを導入すると、通勤の時間が浮きます。

その時間を家事や育児・介護、勉強、睡眠などにあてることによって、社員のライフ・ワーク・バランスが整います。

勤務時間はそのままでもプライベートの時間が増えるため、社員はより充実した毎日を過ごせるようになるのです。

②好きな場所に住める

テレワークでは、パソコンや携帯電話など情報通信機器が使える場所であればどこからでも仕事ができます

そのため、駅や会社の近くに住む必要がなく、どこでも好きな場所に住むことができるようになるのです。

同じ会社に勤める人でも、都会が合っている・田舎が合っているなどの性質は様々です。

また、テレワークであればたとえパートナーが転勤になっても、単身赴任をしたり一緒についていくために転職をしたりする必要がなくなります。

仕事に合わせて自由に住む場所を選べなかった社員にとって、これは大きなメリットとなります。

③生産性の向上

特に毎朝満員電車で通勤している人は、会社に着く時点で心身ともに疲れているものです。

しかしテレワークが導入されれば、毎朝満員電車で通勤する必要がなくなるため、仕事前に無駄なエネルギーを奪われることがありません。

また、テレワークになると通勤時間を睡眠にあてることもできるため、前日の疲れを睡眠によってしっかりと解消して仕事に臨むことができます。

かねてより日本人は睡眠時間が短いと指摘されていますが、睡眠時間を週平均で1時間増やせば、生産性が1.1%〜5%ほどアップするとも言われています。

通勤時間分長く寝ることができれば、仕事の生産性は大きくアップすることが期待できます。

④災害や感染症リスクの低下

日本では、長年いつどこで大きな地震が来てもおかしくないと言われています。

もし会社にいるときに大きな地震が来たら、公共交通機関が止まっていつ帰れるのかわからなくなったり、駅に人が殺到してすぐには帰れなかったりします。

しかしテレワークなら、こうした災害による混乱のリスクを下げることができます。

また、新型コロナウィルスやインフルエンザなどの感染症が流行したときには、電車で通勤することや方々から集まる人々と同じオフィスで長時間過ごすことが感染リスクを高めます。

テレワークであれば家で仕事ができるため、感染症が流行したときでも外出や人との接触を最低限に抑えられ、安心です。

⑤ストレス軽減

テレワークをすると、他の社員や顧客と直接会う機会が減り、ストレスが大きく低下することが期待されます。

実際に、2019年11月に行われた調査では、社会人のストレス要因の1位は人間関係となっています。

また、新型コロナウィルスにより多くの企業でテレワークが導入された2020年4月の自殺率は、前年同月に比べて19.7%も低く、その背景にはテレワークによる対人関係ストレスの減少が大きく関わっているのではないかとも言われています。

社員から見たデメリット4つと対策

社員から見たテレワークのデメリットには、次の4つがあります。

①仕事とプライベートの区別が難しい
②ミスコミュニケーションが増える
③孤独を感じる
④運動不足になる

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①仕事とプライベートの区別が難しい

テレワークをすると、どうしても仕事とプライベートの境界線が曖昧になります。

家にいながら会社のパソコンを確認することができるため、終業後もメールが気になって確認してしまったり、つい残業を多くしてしまったりします。

その結果、仕事が終わって家にいるのに疲れが取れなくなってしまう可能性があります。

こうしたことを防ぐためには、プライベート用の部屋と仕事用の部屋を区別する、始業と終業時のルーティンを決めて気持ちを切り替えるなどの工夫が必要です。

②ミスコミュニケーションが増える

テレワークになると、他の社員と直接やりとりすることができません。

テレビ会議をすることもできますが、軽いやりとりであればチャットやメールを利用するようになります。

その結果、話し手が伝えたかったことが聞き手に正しく伝わらず、仕事に支障が生じる可能性があるのです。

また、直接話すことができないとお互いの顔色やニュアンスも伝わりにくくなるため、非言語コミュニケーションを緩衝剤として活かすことができず、社員間でのやりとりがギクシャクしてしまう場合もあります。

こうしたデメリットを踏まえ、テレワーク時のコミュニケーションではお互いの認識確認をこれまで以上に重視したり、込み入った話をするときにはチャットではなく電話やデレビ電話を使うなどの対策が必要になります。

③孤独を感じる

仕事で行き詰まった時や疲れたときでも、すぐそばに他の社員がいれば声をかけたり、頑張っている姿を見たりしてモチベーションを保つことができますが、テレワークではその場で一人で仕事をしなければなりません。

そのため、仕事中に孤独感を感じてしまう人もいます。

孤独感を感じてしまうとモチベーションが下がったり、困ったことがあっても他の社員に相談しにくくなったりするため、業務にも支障が出てしまいます。

こうしたデメリットについては、マネジメント側が社員の状態に気を配ることや、社員同士で積極的に息抜きの機会を作ることが求められます。

④運動不足になる

テレワークで通勤の必要がなくなると、1日中家にいるという日も出てきます。

また、家だと周りの目もないため、ベットに寝転がって仕事をすることもできるようになります。

その結果、テレワークを継続することで運動不足になり、健康に悪影響が出てしまう可能性があるのです。

健康的にテレワークを続けていくためには、今まで通勤に使っていた時間を運動に当てるなど、自発的な対策が必要になります。

テレワーカーの声をご紹介

ではここで、実際にテレワークで働く社員たちの声を『平成30年度 地方企業に学ぶテレワーク実践事例集』(総務省)からご紹介します。

まずは宮崎県の株式会社ポップミックスの社員です。こちらの社員は、テレワーク導入により父を介護する母をサポートできるようになったそうです。

見守りが必要になった父親の介護を機に、1年前から週1回、3~8時間テレワークを利用しています。私が実家で一緒に過ごすことで、24時間365日、父を介護していた母親は自分の時間が持てるように。「そばにいてもらえるだけで安心」と感謝され、少しは負担を減らせていると思います。親と対面する時間も増え、自分の将来やライフスタイルを見つめなおすようにもなりました。

続いて、富山県の株式会社岡部の社員です。こちらの社員は、テレワーク導入により通勤に費やしていた時間を有効活用できるようになり、育児も余裕を持ってできるようになったそうです。

自宅から東京支店までの通勤時間は約1時間。電車の遅延でもっと時間がかかることも。在宅勤務にすると、往復約2時間を有効活用できます。自宅近くに娘の保育所があり、急な発熱や健診などへの対応、行事への参加もスムーズです。職場勤務の場合、午前7時30分~午後4時30分と、勤務時間にも配慮してもらっています。通勤ラッシュを避けられ、時間に余裕をもって娘の送り迎えができます。テレワークが育児をサポートしてくれます。笑顔で家族と過ごす時間も増えました。

最後は、岐阜県にある株式会社リーピーの社員です。こちらの社員は、テレワーク導入により出社できないときの負担が軽減され、安心感が増したそうです。

やむを得ない事情でオフィスへの出勤が難しくなることもあります。テレワークで仕事ができることは、負担が軽減され、安心感にもつながっています。逆に、オフィスへ行けないという理由で、仕事を続けられなくなることは会社にとっても社員にとっても不利益です。テレワークを導入したり、制度を設けたりすることにより、課題を解消できることは多々あります。これからは時間や場所を選ばない働き方を求める人が増えていくと考えられ、多様な人材を受け入れる仕組みづくりが会社に求められていると感じます。

社会から見たテレワークのメリット・デメリット

社会から見たテレワークのメリット・デメリット

社会から見たメリット3つ

社会から見たテレワークのメリットは、次の3つです。

①環境への負担が減る
②雇用創出
③地方活性化

は、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①環境への負担が減る

テレワークを実施する企業が増えると、自動車で通勤する人の数が減ります。

また、テレワークにより家での消費電力が増えることを考慮しても、出社する社員が減ることは消費電力の節約に繋がります。

その結果、環境への負担を減らすことができるのです。

②雇用創出

テレワークを導入すると、地方に住んでいる人や子育て・介護をしている人でも働きやすくなります。

また、障害を持つ人々の雇用もさらに促進されます。

その結果、多くの人に雇用のチャンスが生まれるのです。

③地方活性化

テレワークが進むと、地方在住の人でも都市部の会社に就職できるようになるだけでなく、都市部在住の人でも地方の会社に就職できるようになります。

また、仕事の都合で都市部に住んでいるが本当は地方で暮らしたい・地方の実家に戻りたいという人が地方部に引っ越してくることも考えられます。

その結果、地方の会社の活性化・地方の人口増加が期待でき、経済や人口の都市部集中が解消され、地方活性化が期待できます。

社会から見たデメリットと対策

一方、社会から見たテレワーク導入のデメリットには、オフィス街の飲食店の経営が傾くということがあります。

実際に新型コロナウィルスの流行によりテレワークをする企業が増えた際、オフィス街の飲食店は大きな打撃を受けました。

こうしたデメリットに対しては、デリバリーでの食事の提供といった対策が必要になるでしょう。

まとめ

テレワーカーのweb会議

この記事では、テレワークを導入することで生じるメリット・デメリットを企業・社員・社会の視点から見てきました。

テレワークを導入することにはもちろんデメリットもありますが、働く人々の価値観の変化や新型コロナウィルスの流行を受けた「新しい生活様式」の普及によって、今後ますますテレワークの導入は必要になっていくと考えられます。

企業や社員、社会がデメリット解消のための対策を取り、テレワーク導入を進めていくことが重要でしょう。

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