今回は2019年3月にオープンしたばかりの「room EXPLACE (ルームエクスプレイス)」へ行ってきました!
room EXPLACEは、あの東京メトロが運営するコワーキングスペースです。
一体どんな特徴のあるコワーキングスペースなのか、さっそくみていきましょう。
目次
room EXPLACE(ルームエクスプレイス)東陽町の館内レポート
エレベーターを降りると、目の前に現れるのがroom EXPLACEです。
入退室管理はAkerun(アケルン)を使用。ICカードをかざしてドアを開けると、目の前にはシェアして使用できる大きなワークテーブルがあります。
オープンで落ち着いた雰囲気のスペースですよね。
美味しいコーヒーやミネラルウォーターはもちろん、ちょっとしたお菓子も無料で利用できるそうです。
※一部有料のドリンクもあり!
でも、このroom EXPLACE。ただのコワーキングスペースではありません。
キッズルーム付きのコワーキングスペースなんです!
キッズルームがあるのは、北東にある広い窓に面したお部屋。館内図を見ても、広いスペースが割かれているのが分かります。
壁とガラス窓で仕切られているので、ワークスペースからはキッズルームを簡単にのぞくことができます。
当初は広く明るい窓際を、ワークスペースに使う計画だったそうですが、子どもたちに一番いい環境をと、フロアで一番日の光が差し込む部屋を用意したそうです。
クッション性のあるフローリングで、子どもたちものびのび遊べそう。少しくらい走り回る分には、問題なさそうです。
壁面には、子供が楽しくなるような掲示物がいっぱい。常駐するスタッフさんが手作りしています。
日中は海外出身の先生が来ており、一緒に遊んでくれます。お部屋のBGMも英語の歌が流れていました。
キッズルームの外には、大人も手に取れる絵本のコーナーが。休憩がてら、お子さんに読んであげることもできそうです。
0歳〜2歳のお子さんをお持ちだと、オムツ替えや授乳・調乳のスペースも気になりますよね。
オムツ替えスペースはこちら。トイレの手前に収納式のオムツ替え台があります。room EXPLACEは男性用トイレにも設備があるので、パパでも使いやすいのがうれしいですね。
授乳スペースはキッズルーム内にあります。カーテンで仕切られたスペースで授乳できるので安心。調乳も、授乳スペースのすぐそばにあるカウンターで行えます。
キッズ関連の施設を中心に見てきましたが、コワーキングスペースももちろん充実しています。
明るい窓際には、仕切りのあるワーキングスペースがあります。各席、電源と荷物置きのバスケット、ブランケットがあるので、快適です。
プライベート空間で仕事がしたい方には、こちらの扉付きワークスペースを使用できます。棚とハンガーが付いて、省スペースながら機能的です。
もちろん、会議室もあるので、客人を招いてのミーティングなども可能。会議室の利用については、追加料金は発生しません。ビジターも3名までは無料で招くことができます。
他にも、コピー機やちょっとした文具など、あると嬉しい設備は整っています。
館内用スリッパもあるので、靴を脱いでくつろぎながら働きたい方にぴったり。
かゆいところに手が届く、充実の設備です。
エントランス目の前には、子育て世代向けの雑誌、フリーペーパーなどが配布されています。
忙しい子育て世代でも、効率よく子育てに関する情報を得られそうですね。
room EXPLACE 門前仲町の館内レポート
門前仲町にあるroom EXPLACEは、路上に面した1階にあります。
こちらも木をふんだんに使用した内装。省スペースながらも、心地よい空間です。
こちらのキッズルームも、ワークスペースからのぞきこむことができます。
門前仲町のワークスペースはこちら。オープンな空間ですが、会議スペースはあるのでミーティングは可能です。
男女共用トイレにはオムツ替え台と子ども用トイレがあります。
小さなお子さん連れでも安心です。
「room EXPLACE(ルームエクスプレイス)」運営スタッフインタビュー
今回は、東京地下鉄株式会社 企業価値創造部の桶田麻衣子さんにお話を伺いました。
――東京メトロがコワーキングスペースを運営すると聞いて意外性を感じました。サービスを始めた経緯を伺えますか?
この企画は、もともと子育て中だった私と、もうひとりの社員の声から生まれた企画でした。「子育てって毎日大変だよね」と同僚と話す中で、「早く復職したいけど、子供と一緒にいたいし…」と、キャリアと子育てがトレードオフの関係になってしまうのが切なく感じていました。
そこで、「もっと子供をそばに感じて働けたらいいな」「キャリアも諦めない子育てがしたい」と、この2つの希望を叶えるスペースを作ることにしたんです。
当社は鉄道会社なので、沿線活性化、路線の混雑緩和という経営課題があります。でも、このキッズルームを併設したコワーキングスペースを展開することで、時差通勤やテレワークを促進し、混雑を避けて通勤するというライフスタイルを定着させていくことができるかもしれない――。
現在はまだ微力かもしれませんが、将来的には、鉄道会社としての経営課題にも寄与することができると考えています。
――room EXPLACEという業態名にはどんな思いが含まれているのですか? EXPLACEは造語ですよね?
造語です。この業態名には、“外へ広がる場”という意味を込めました。
どうしても子育て中は、家庭の中で閉じこもりがちになってしまいます。でも、こういった場所で子育てサポートが受けられれば、外へ出ることができるのかなと考えたんです。
この場所をきっかけに、外へ広がって行くことができたらと思いEXPLACEという言葉を選びました。第三の子育ての場、サードプレイスという意味合いも強いですね。
――room EXPLACEの魅力とはなんでしょうか。
この施設をオープンするにあたって、多くの施設を視察させていただきました。そのなかで大切に思ったのは「親の都合で連れてきてごめんね」と、親に罪悪感を抱かせてはいけないということです。
なので、内装設計についても、キッズルームのサービス内容についても、罪悪感を抱かせない工夫しました。
1つめの工夫した点は、「“最良の環境”で子供が過ごせるようにした」ということです。
キッズルームはフロアの真ん中に配置し、明るい日差しが差し込む、フロアで最良の場所を子供の居場所に選びました。
2つめは、英語による保育やイベントを定期的に実施しているという点です。
ただ時間を過ごすだけの保育ではなく、もっと充実したプログラムで過ごしてもらいたいと考えました。
そこで、このキッズルームには、定期的に海外出身のスタッフに来てもらい、英会話教室とまではいきませんが、お子さんに英語で読み聞かせをしてもらったり、歌を歌ったりしてもらっています。親御さんにとっては、習い事をさせているような感覚で預けられるのがポイントです。
3つめは、お子様の様子をきちんと共有するという取り組みです。
お子さんが一日どんなふうに過ごしていたかなど、親御さんは気になっていると思います。そこで、手作りのメッセージカードに、キッズルームで過ごした様子を記載して、お渡しするようにしているんです。
「英語で歌を歌いました」「絵本を読みました」など、少しでも様子が書いてあると、ご安心して利用できるのかなと思います。
私自身も、過去に一時保育などを利用したことがありましたが、やはり「自分の都合で連れてきてごめんね」という申し訳ない思いが拭えなかったんです。でも、子育てをしていると、自分の時間も欲しくなります。
子供と自分の時間――。その2つをほどよい距離に保てる場所が、このキッズルーム併設のコワーキングスペースではないかと行き着いたんです。子供も充実した遊びができるし、親自分も気になったら子供の様子を見ることができます。
――そばにキッズルームがあると、泣き声や音などは気になりませんか?
かすかに赤ちゃんの泣き声が聞こえたり、おもちゃの音が聞こえたりすることはあります。ただ、音に対するクレームをいただいたことはないので、安心してご利用いただけると思います。
我々としても、子育てを身近に感じていただきたいという思いがあったので、完全防音にはあえてしませんでした。
――ウッド調の温かみのある内装ですが、インテリアへのこだわりはありますか?
せっかく起こしいただくからには、自宅でもオフィスでもない雰囲気にしたいと、木目を感じられる素材や、温かみを感じるカフェのような空間をテーマに設計をしてもらいました。
「ココに来たい」と、思ってもらえなければ、自分の時間をゆっくり過ごすことは出来ないと思いますので、内装デザインにはこだわりました。
――この東陽町という場所を選んだ理由はなんですか?
東陽町も門前仲町も駅から徒歩2分と近い場所にあります。この駅から近い立地と、フロアの大きさ、日当たりに重きを置いて選びました。
このエリアは鉄道の混雑率が高く、0〜4歳の人口も多いエリアです。実験的ではありますが、混雑率の緩和と子育て世代の支援につながるのではないかという思いもありました。
他にも、IT企業に勤め、テレワークで働いている人が多いのも、このエリアを選んだ一つの理由です。
――キッズルームの料金設定については、どのように決めたのですか?
ベビーシッター代を目安に料金設定しています。このあたりだと、ベビーシッターの代金は1時間1,500円です。それを下回るように、現在は1時間1,200円でキッズルームをご提供しています。
ただ、利用回数を増やしたいお客様からは、「もう少し安いほうが利用しやすい」という意見も頂戴していますので、料金設定については、まだまだ検討しなければいけません。
――ベビーシッターにお願いするよりは安く依頼できて、快適な場所で仕事ができるなら、とても魅力的です。
そうですね。ベビーシッターにお願いすると、時間単価以外に交通費なども必要になります。実際はもっと費用負担が大きいんです。
また、ベビーシッターだと、自宅へ来てもらわなければいけない心理的障壁もあると思います。そういった点でも、メリットを感じていただけるのかなと思いました。
他にも、フリーランスの方は、産後1ヶ月など、すぐ復帰される方が多いですよね。自宅で仕事しながら子育ても……となると大変ですが、そんな場合にも、room EXPLACEのような場所を利用していただけたら、子育ての負担が少しでも軽減されるのかなと思っています。
――定期的にイベントも開催しているようですが、どういう趣旨で行っているものなのでしょうか?
まずは足を運んでいただきたいということで、毎月定期的にイベントを開催しています。ビルの5階ということもあり「来るのに勇気が必要でした」という利用者様もいて、無料のイベントを定期開催することにしたんです。
実は、ゆくゆくはコミュニティづくりの場になることも考えていまして……。何かを学び、新しい知識を吸収できる場になればと「朝活イベント」なども企画しています。
今後は、育休中のママ向けのワークショップを行ったり、復職に向けての講座を開いたり、「復職に備えてスキルを身につける場」になることも視野に入れています。キッズルーム併設の施設ならではのイベントも考えたいですね。
――これからの目標や展望をお聞かせください。
東陽町も門前仲町も、きょうだいで利用されたい方というのが意外と多いので、年齢制限を広げた背景があります。一定のきょうだいニーズに応えられるようなサービスも考えていきたいですね。
現状、0歳児〜小学生までを同じ施設で預かるのは難しいので、今後は幅広い年齢の子供を受け入れられる施設を、新設する必要があるかもしれません。
今も夏休み中なので、「小学生は利用できますか?」と、尋ねられることがあります。しかし、仕事に集中したい人もいる中で、小学生のお子さまをワークスペースに入れるのは……と、現在はお断りしています。ただ、ニーズがあることは感じているので、今後はきちんと対応を考えていきたいですね。
オープンして半年が経ち、子育てをしながら自宅で働くお母さんたちに、「こういう場所を探していた」と言っていただきました。一定の層へは届いたのかなという思いもありますが、もっと多くの方にご利用いただきたいとも考えています。
「room EXPLACE(ルームエクスプレイス)」の料金プラン
【料金プラン】
<時間会員>
ワークスペース 400円/30分(1日上限3,000円)
キッズルーム 上記に+600円/30分
<月額会員>
ワークスペース 20,000円/月
キッズルーム 上記に+600円/30分
※キッズルームのみの利用は不可
「room EXPLACE(ルームエクスプレイス)」の周辺の立地・環境
room EXPLACE 東陽町
住所 | 東京都江東区東陽3-27-17 長谷川ビル5階 |
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アクセス | 東京メトロ東西線「東陽町」1番出口から徒歩2分 |
TEL | 03-6458-7070 |
営業時間 | ワークスペース 8:00〜20:00 キッズルーム 9:00〜17:00 電話・見学受付 9:00〜17:00 手続き可能(スタッフ応対時間)9:00〜12:00、13:00〜16:30 |
定休日 | 無休(年末年始、施設メンテナンス日等の指定日を除く) |
ルームエクスプレイス東陽町は、東京メトロ東西線「東陽町」駅から徒歩2分の便利な立地です。駅直結などではありませんが、簡単な道のりなので、迷う心配はありません。
地下鉄出口を出ると、永代通りに出ます。目の前の横断歩道を西へ渡り、四ツ目通り沿いに進みましょう。
この道を進んで1分ほどすると、左手にセブンイレブンが見えてきます。そのセブンイレブンを越え、1つ目のビルが目的地です。
1階の不動産屋さんが目印。
このビルの5階に、room EXPLACE 東陽町はあります。
room EXPLACE 門前仲町
住所 | 東京都江東区門前仲町1-9-13 ウィズビル1階 |
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アクセス | 東京メトロ東西線「門前仲町」3番出口から徒歩2分 |
TEL | 03-5809-8112 |
営業時間 | ワークスペース 8:00〜20:00 キッズルーム 9:00〜17:00 電話・見学受付 9:00〜17:00 手続き可能(スタッフ応対時間)9:00〜12:00、13:00〜16:30 |
定休日 | 無休(年末年始、施設メンテナンス日等の指定日を除く) |
門前仲町駅は、下町情緒漂う商店街が人気の街。美味しそうな大福の老舗和菓子店や、いい香り漂う焼き鳥店など、思わず立ち寄りたくなってしまいます。
そんな門前仲町駅の3番出口を出たら、永代通りを西方向へ進みましょう。
1つ目の角(「深川モダン館通り」と書かれたプレートが目印)を右手に曲がり、すぐの角を左に曲がります。
すると、右手に見えてくるのがroom EXPLACE 門前仲町です。コンクリート外壁と、ガラス張りのエントランス、木目の扉が印象的。Room EXPLACEのロゴが目印です。
大通りまで近いですが、とても静かで、落ち着いた雰囲気のエリア。子供が過ごすのにも、親が仕事をするのにも、最適な周辺環境です。
編集後記
room EXPLACEのいいところは、子供と親御さんを一番に考えたスペースだということです。
一般の利用客もいるため、ワークスペースで子供と過ごすことはできないとのこと。でも、反対に、キッズルーム内に小さなテーブルを置き、パパやママが働く分には問題ないのだそうです。
土日は、子連れのパパがよく訪れるのだそうです。今後は、テレワークを推進する企業などにも働きかけ、利用を促したいといいます。子育て世代の第三の場所としての役割は、まだまだ広がりそうです。