近年、フリーランスのデザイナーになりたいという人が増えてきています。
しかし、憧れる気持ちはあっても、実際にどのような仕事をするのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
この点を知らずに、勢いでフリーランスのデザイナーになってしまうと、理想と現実のギャップに苦しんで、後悔してしまうかもしれません。
そこで、この記事では、フリーランスデザイナーについての、以下の内容について説明していきます。
・仕事内容や年収
・業種と必要スキル
・なるための方法
・仕事の獲得方法
・仕事をするうえでの注意点
・スキルアップ方法
この記事を読めば、フリーランスのデザイナーとして活躍するための基本が身につくはずです。
目次
フリーランスのデザイナーってどんな仕事?年収は?
フリーランスのデザイナーになりたいという方にとって、特に気になるのは、以下の2点ではないでしょうか。
・仕事内容
・年収
ここでは、フリーランスデザイナーの仕事内容と年収について説明していきます。
フリーランスのデザイナーの仕事内容
デザイナーの仕事内容は、制作物のデザインをすることです。
一口にデザイナーと言っても、様々な種類があり、業種によってデザインする制作物が異なります。
例えば、ゲームデザイナーなら、ゲームに登場するキャラクターや背景のデザイン、ファッションデザイナーなら、服やバッグなどのデザインを制作します。
フリーランスのデザイナーの場合、デザインに加えて、営業や経理の仕事も必要です。
営業をしなければ、仕事が獲得できず、報酬が得られません。
サラリーマンと違って、確定申告をする必要もあるため、経理作業もしなければなりません。
関連記事:フリーランスにおすすめのクラウド会計ソフトを解説!メリットや確定申告の基本もおさらい
フリーランスデザイナーの年収
一般社団法人「フリーランス協会」が発表した「フリーランス白書2019」によると、869名のフリーランサーを対象に行った業種別の年収の調査結果は、以下のようになっています。
画像引用:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2019」
このデータによると、Webデザイナーやグラフィックデザイナーなどの年収のボリュームゾーンと、それぞれの割合は以下のとおりです。
200万円未満:14.6%
200万~400万円未満:21.2%
400万~600万円未満:22.2%
600万~800万円未満:18.7%
800万~1000万円未満:11.6%
このデータを見ると、年収200万~600万円未満の人が特に多く、全体の4割強を占めていることが分かります。
フリーランスのデザイナーの種類と必要なスキル
デザイナーには、以下のように、様々な業種があります。
・Webデザイナー
・グラフィックデザイナー
・UI/UXデザイナー
・CGデザイナー
・ゲームデザイナー
・DTPデザイナー
・エディトリアルデザイナー
・プロダクトデザイナー
・インテリアデザイナー
・ファッションデザイナー
業種によって、デザインする制作物も、必要なスキルも異なります。
ここでは、デザイナーのなかでも代表的な業種である「Webデザイナー」「グラフィックデザイナー」「UI/UXデザイナー」について説明していきます。
Webデザイナー
Webデザイナーは、企業や個人からの依頼を受けて、Webサイトを制作するのが仕事です。
サイトのレイアウト構成から、配色や装飾などのデザイン、Webサイトを構成するプログラム言語を使って、Webデザインをブラウザ上に表示するための「コーディング」までを行います。
Webデザイナーに必要なスキルは、以下のとおりです。
・デザイン(IllustratorやPhotoshop)
・コーディング(HTMLやCSS)
「Illustrator(イラストレーター)」と「Photoshop(フォトショップ)」は、どちらもデザインを作成する際に必須のデザインソフトです。
「HTML」と「CSS」は、どちらもコーディングに必要なプログラム言語です。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、ポスターやチラシ、商品パッケージなど、主に印刷物のデザインをするのが仕事です。
グラフィックデザインは、デザインソフトを使って行うため、IllustratorやPhotoshopなどのスキルは欠かせません。
UI/UXデザイナー
「UI」とは「User Interface(ユーザー・インターフェース)」の頭文字をとったもので、ユーザーと製品・サービスとの「接点(インターフェース)」を意味します。WebサイトやアプリにおけるUIとは、サイトの表示や入力などを指します。UIデザイナーは、ユーザーが操作しやすい表示やデザインを考えて、作成するのが仕事です。
「UX」とは「User Experience(ユーザー・エクスペリエンス)」の頭文字をとったもので、製品やサービスを通じて、ユーザーが得られる体験全般を意味します。ユーザーが楽しいと感じるような製品やサービスをデザインすることが、UXデザイナーの仕事です。
UI/UXデザイナーにも、IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトのスキルが必要です。
必須ではありませんが、コーディングのスキルもあると、報酬がアップしやすくなります。
フリーランスのデザイナーになるには?
未経験からフリーランスのデザイナーになるには、主に以下2つの方法があります。
・デザイン会社に入ってから独立する
・デザインスクールで勉強する
ここでは、それぞれの方法について説明していきましょう。
デザイン会社に入ってから独立する
今すぐにフリーランスのデザイナーになりたいというわけでないのなら、まずはデザイン会社に入ることをおすすめします。
デザイン会社に入ることのメリットは、給料をもらいながら、デザイナーに必要なスキルを身につけられることです。
デザイン会社で働いた経歴があれば、そうでない場合と比べて、独立してフリーランスになった後も、企業から仕事がもらいやすくなります。
デザインスクールで勉強する
すぐにでもフリーランスのデザイナーになりたいという人には、デザイン会社に入らずに、デザインスクールでスキルを習得するという方法もあります。
デザイナーになるのに、資格や免許はいりません。
スキルと仕事さえあれば、誰でもフリーランスのデザイナーになれるのです。
近年では、デザイナー向けのオンラインスクールも増えてきています。
オンラインスクールなら自宅で、自分のペースで学習を進められます。
フリーランスデザイナーの仕事獲得方法
サラリーマンと違って、フリーランスは基本的に、自分で仕事を獲得しなければなりません。
フリーランスデザイナーの、主な仕事獲得方法は、以下の4つです。
・フリーランス向けのエージェントを活用する
・クラウドソーシングに登録する
・会社員時代のコネクションを活用
・コミュニティが活発なコワーキングスペースに登録する
ここでは、それぞれの方法について説明していきましょう。
フリーランス向けのエージェントを活用する
フリーランスエージェントは、会員登録することで、仕事を発注してくれる企業への営業から契約までを代行してもらえるサービス、およびその会社です。
フリーランスエージェントには、主に以下2つのメリットがあります。
・営業の手間をなくせる
・報酬額が比較的高い
フリーランスエージェントに登録すれば、エージェントから登録者の希望条件や経験に合った案件を紹介してもらえます。
そのため、仕事獲得のために、自分で営業をする必要はありません。
エージェントには、フリーランサーが受注した案件の報酬のうち、一定割合が入る仕組みです。
報酬額が高いほど、エージェントに入る額も大きくなるため、エージェントでは報酬額が高くなるよう、発注元に交渉してくれます。
そのため、報酬額も比較的高くなっているのです。
ただし、フリーランスエージェントでは、発注元の企業に常駐するタイプの案件が多くなっています。
そのため、自宅や好きな場所で働きたいという人には、あまり向きません。
クラウドソーシングに登録する
クラウドソーシングは、仕事を発注したい企業や個人と、仕事を受注したいフリーランサーとをマッチングするプラットフォームです。
クラウドソーシングでは、「クラウドワークス」と「ランサーズ」が有名です。
発注側は、クラウドソーシングサイトで案件の募集を出し、フリーランサーはやりたいと思った案件に応募します。
発注側から選ばれれば、その案件が受注できるという仕組みです。
クラウドソーシングには、主に以下3つのメリットがあります。
・未経験から始めやすい
・案件数が多い
・未払いのリスクが低い
クラウドソーシングは、フリーランス初心者向けのサービスで、簡単な仕事も多いため、未経験でも仕事を受けやすくなっています。
クラウドソーシングは、案件数も豊富です。
特に、クラウドワークスでは、デザイン以外の仕事も含めれば、1年間での仕事の発注件数は300万件にもおよびます。
クラウドソーシングでは、報酬額の支払いに「エスクロー」のシステムが採用されています。
これは、正式に受注に至った際、発注側がクラウドソーシングの運営会社に報酬を預け、案件完了後に受注側に支払われるというものです。
これなら、クライアントから報酬が支払われないリスクを最大限排除できます。
こうしたメリットがある一方で、クラウドソーシングには、以下のデメリットもあります。
・全体的に単価が安い
・報酬の20%が引かれる
クラウドソーシングの案件は、全体的に、報酬額が相場より大幅に安くなっています。
さらに、報酬額のうちの20%は、システムの利用手数料として、運営会社に引かれてしまいます。
そのため、クラウドソーシングである程度仕事をこなしたら、別の方法で仕事を獲得するのがおすすめです。
関連記事:スキルシェアサービスおすすめ16選を比較!副業で稼ぐコツも紹介
会社員時代のコネクションを活用
会社員時代のコネクションがあるなら、積極的に活用しましょう。
「フリーランス白書2019」のデータでも、以下のように、フリーランサーの仕事の獲得経路で最も多いのは、知人の紹介を含む「人脈」です。
画像引用:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2019」
これからデザイン会社に入ることを検討しているなら、仕事を発注している取引先と仲良くなっておけば、フリーランスになったときに仕事を紹介してもらいやすくなるはずです。
コミュニティが活発なコワーキングスペースに登録する
コワーキングスペースのなかには、フリーランス同士のコミュニティが活発なところもあります。
こうしたコワーキングスペースに登録しておけば、他の業種の人などから、デザイナーが必要になったときに声をかけてもらいやすくなります。
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フリーランスのデザイナーとして仕事をするうえでの注意点
フリーランスのデザイナーとして仕事をするうえでは、主に以下4つの注意点もあります。
・クライアントは慎重に選ぶ
・できないことは「できない」と言う
・レスポンス速度を意識する
・安い報酬では受けない
ここでは、これらの注意点について説明していきます。
クライアントは慎重に選ぶ
駆け出しで仕事が少ないうちは、クライアントを選ばずに、仕事を受注してしまいがちです。
しかし、クライアントの全てが、良い企業とは限りません。
悪いクライアントにあたってしまうと、以下のようなトラブルに見舞われてしまうこともあります。
・報酬の未払い
・報酬の発生しない修正作業が何度も入る
こうした事態を避けるため、仕事を受注する前に、前もってクライアントの評判を調べておきましょう。
クラウドソーシングの場合は、仕事の完了後に、相手を5段階で評価できるようになっています。
評価があまりにも悪いようなら、そのクライアントから仕事を受けるのは、避けた方が無難です。
クラウドソーシング以外の場合は、検索エンジンで「企業名 未払い」などのキーワードで検索してみることをおすすめします。
エージェントやクラウドソーシングを介さず、クライアントと直接やり取りする場合は、クライアントと業務委託契約書を交わしておくことも重要です。
契約書を交わしておけば、未払いの確率がグッと低くなります。
契約書に修正の条件や回数の上限も明記しておけば、理不尽な修正作業を何度もさせられることもありません。
できないことは「できない」と言う
企業から仕事の打診を受けて、自分のスキルでは不十分だと思ったら、はっきり「できません」と言う姿勢も大切です。
受けてしまった後で「やっぱりできません」となれば、クライアントに迷惑をかけるうえ、自分の評価も下がってしまいます。
最悪の場合、損害賠償請求をされてしまう可能性もあるので、できないことはできないと伝えましょう。
関連記事:全てのフリーランスに捧ぐ!仕事を断るときのテンプレート【チャットで使える】
レスポンス速度を意識する
発注先に求める条件として、レスポンスの早さを挙げるクライアントは多くなっています。
クライアントにすれば、相手のレスポンスが遅いと、それだけ業務の進行に支障が出てしまううえ、「重要視されていない」と判断してしまいます。
そのため、クライアントからのメッセージに対するレスポンスは、可能な限り早くするようにしましょう。
早いレスポンスを意識することで、クライアント側には、他にも仕事をお願いしたいと思ってもらえます。
安い報酬では受けない
全くの未経験からフリーランスのデザイナーになった場合、実績を作るため、最初は安い報酬で仕事を引き受けることも必要です。
しかし、実績やスキルが付いてきたら、あまりに報酬の安い案件は断るようにすべきです。
報酬の安い仕事を引き受けると、仕事にも熱が入らず、質が低くなってしまいます。
これでは、win-winどころか、自分もクライアントも幸せにはなれません。
フリーランスデザイナーのスキルアップ方法
売れっ子のフリーランスデザイナーになるためには、常にスキルアップを図ることが欠かせません。
フリーランスデザイナーのスキルアップ方法には、主に以下の方法があります。
・日頃からインプット・アウトプットを行う
・同業のフリーランスの有名人のSNSをフォローしておく
・学習サイトを活用する
ここでは、それぞれのスキルアップ方法について説明していきます。
日頃からインプット・アウトプットを行う
スキルアップをするためには、知識や情報を取り込む「インプット」と、取り入れた知識を発信したり、試したりする「アウトプット」をしましょう。
知識を頭の中にインプットしても、人間の脳は、それを忘れてしまいます。
しかし、実際に学んだことをアウトプットすると、そのことを忘れにくくなるのです。
そのため、スキルアップを図るうえで、インプットとアウトプットは両方行うようにしましょう。
インプットをするには、デザインの書籍やブログ記事を読んだり、勉強会に参加したりする方法があります。
アウトプットをするには、SNSやブログなどで、学んだ知識や情報を発信するのが有効です。
SNSやブログなどで発信していると、それを見た企業の人から、依頼が来ることもあるというメリットもあります。
同業のフリーランスの有名人のSNSをフォローしておく
デザイナーになるなら、同業のフリーランスデザイナーで有名な人のSNSをフォローしておきましょう。
こうした人たちは、仕事の獲得方法や、その業種の最新トレンドなどを発信しています。
投稿を見ることで、仕事をするうえでの知見やヒントが得られます。
ただし、有名だからといって、全てを鵜呑みにしたり、真似したりするのはおすすめできません。
自分に向かない方法を、向いていないと気づかないまま真似してしまうと、失敗のもとになってしまいます。
有名人の発信するノウハウは、自分に向いているかどうかを判断したうえで、自分流にアレンジして、使いこなせるようになりましょう。
こうしてオリジナルを目指せば、クライアントにとって、唯一無二の存在にもなれます。
学習サイトを活用する
フリーランスのデザイナーに必要な知識やノウハウは、ネットの学習サイトでも学べます。
スキルを付けるために、こうした学習サイトは積極的に活用するようにしましょう。
フリーランスデザイナーを目指す人におすすめの、代表的な学習サイトには、以下のものがあります。
・design
・schoo
・Udemy
・progate
ここでは、各サービスの特徴について紹介していきます。
chot.design
「chot.design(ちょっとデザイン)」は、WebデザインやUI/UXデザインが無料で学べる学習サイトです。
サイト内には、内容別にたくさんの無料カリキュラムが用意されています。
無料カリキュラムはブログ記事形式になっていて、テキストベースでの学習が可能です。
このほか、動画とテキストで構成された有料カリキュラムや、メールサポート付きのオンライン講座も用意されています。
schoo
「schoo(スクー)」は、様々なビジネスを対象にした、オンライン学習講座です。
カテゴリのなかには、Webデザインやグラフィックデザインなどもあります。
schooでは毎日、オンラインの生放送授業が開催されています。
生放送の授業なら、参加費はかかりません。
さらに、月額980円払えば、過去の5000本以上のオンライン授業が見放題になります。
Udemy
「Udemy(ユーデミー)」も、様々なビジネスを対象にした動画学習サービスです。
もちろん、デザインの動画もたくさん配信されています。
Udemyでは、15万本ものオンラインビデオコースが用意されています。
受講したいコースを購入することで、そのコースの動画を全て視聴可能です。
progate
デザイナーにとって、プログラミングは必須ではありませんが、こうしたスキルも持っていると、仕事の幅が広がり、報酬アップにもつながります。
「progate(プロゲート)」は、オンラインのプログラミング学習サービスです。
コンテンツは動画ではなく、イラスト中心のスライドが採用されています。
基礎レベルの18レッスンは、全て無料で受けられます。
月額980円払えば、有料の79レッスン(2020年8月時点)も受講可能です。
まとめ
フリーランスデザイナーの仕事内容やなり方から、なった後の仕事の獲得方法やスキルアップ方法について紹介してきました。
デザイナーの仕事をするには、デザインソフトのスキルや、職種によってはコーディングのスキルも必要です。
そのため、未経験からフリーランスデザイナーになるのはやや大変ではあるものの、決して不可能ではありません。
デザイン会社に入れば、仕事をしながらスキルを身につけられますし、オンラインスクールや学習サイトを利用すれば、自宅で勉強ができます。
こうしたサイトで学びながら、副業でデザインの仕事をしてみるという方法もあります。
そう考えると、フリーランスデザイナーへの道は、誰にでも開けているのです。
フリーランスデザイナーになりたいという方は、まずはデザインの書籍や学習サイトの無料コンテンツなどを読んでみて、夢への第一歩を踏み出してみてはどうでしょうか。
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